2025年も12月にさしかかり、今年も終わりが近づいて参りました。
クリスマスやお正月には、ケーキや和菓子などを食べる機会が多くなると思います。そんなお菓子にも多く使われているのが金箔です。今回は金箔の持つ意味について記載してみました。是非ご一読ください。
 
金箔が料理やお菓子に使われるのは、見た目の豪華さだけではありません。
そこには、“相手を祝福する”という日本の美しい心があります。
お正月のお屠蘇、祝いの和菓子、抹茶の表面に浮かぶ小さな金の粒。
それは「金運」よりも、「幸せを願う光」としての意味を持っています。
金箔は無味無臭ですが、場の空気をやわらかく照らす力を持っています。
金を食べるというより、「祝福の心を味わう」
そんな優しい感性が、千年の時を超えて受け継がれています。
 
金箔は、味も香りも持たない素材です。
しかし、日本人はそこに、「祈り」や「祝福」という目に見えない意味を重ねてきました。
 
古くから、金は「不変」「永遠」「太陽」の象徴とされ、その輝きは神仏の加護を示す“聖なる色”とされてきました。神社の鏡や仏像の光背、襖絵の金雲など、どれも「光で清め、悪を寄せつけない」という祈りの形なのです。
 
その思想は、やがて食文化にも自然に溶け込みました。
お正月のお屠蘇に浮かぶ金箔、婚礼の酒に散る金粉、祝いの和菓子や抹茶に添えられる金のかけら。それは単なる装飾ではなく、
「あなたの人生が光に包まれますように」という願いを、そっと伝える“言葉なき贈り物”なのです。
 
金箔を口にした瞬間、味はほとんど感じません。
けれど、舌の上で光がひとひら舞うような感覚に、人は“特別な時”の空気を感じ取ります。それは、五感を超えた「時の演出」。
祝う人と祝われる人の心を、光がやわらかくつなぎます。
 
金箔を食べることは、きらびやかさを求める行為ではありません。
それは、誰かを想い、時を慈しむ心の表現なのです。
たった一枚の光が、祝いの席をやさしく包み、人と人との間に、穏やかなぬくもりを灯してくれる。
日本人は、そんな“光を味わう文化”を、千年もの間受け継いできました。
是非皆様も金箔を心で味わっていただければと思います。
 
宜しくお願い申し上げます。